活動報告

かんのニュース★150414――西宮の浸水想定区域が大幅減少へ 県の津波防災インフラ整備計画

投稿日 2015年7月14日

兵庫県は6月、南海トラフ巨大地震を想定した「津波防災インフラ整備計画」を発表しました。この中の西宮地域の整備計画について詳しく説明したいと思います。西宮地域は重点整備地区に指定されており、平成35年度までに防潮堤の強化など全ての津波対策インフラ事業を完了させる予定です。全事業が完了すれば、市内の津波浸水想定区域(防潮堤内)が842ヘクタールから163ヘクタールにと約81%減少させることができます。残りの浸水区域である163ヘクタールについても、居住地域では浸水の深さは30センチ未満になり、避難行動を取ることができるとしています。

計画は過去に100年に1回程度のペースで発生しているマグニチュード8.4程度の地震による「レベル1津波」と、それを大きく上回り、発生頻度が極めて低いものの、甚大な被害をもたらすマグニチュード9クラスの地震による「レベル2津波」の2タイプに分けて被害を想定し、対策を策定しました。

西宮市の海岸部には「レベル1津波」でT.P.(東京湾平均海面の略称で日本の測量の高さの基準)プラス3メートルの津波が押し寄せるとしています。「レベル2津波」ではT.P.プラス3.7メートルの津波がやってきます。

これに対し、防潮堤の高さは鳴尾地区でT.P.プラス4.3~5.3メートル、西宮・今津地区でT.P.プラス3.9~5.6メートルあります。「レベル1津波」では、地震の揺れによる防潮堤の被害は少なく、津波の高さよりも防潮堤が十分に高いので、市内の居住区域に浸水する可能性は低いとのことです。

「レベル2津波」が発生した場合、鳴尾地区では、地盤の液状化で鳴尾川などの防潮堤の一部が著しく沈下し、その部分から津波が入ってきて市内の広範な地域が浸水します。西宮・今津地区では防潮堤の沈下に加え、防潮堤の高さが十分でない箇所から津波が入ってきます。浸水する市内の面積は最大で842ヘクタールに上るとみられています。

計画では、「レベル2津波」でも被害を最小限に抑えることのできるインフラ整備事業を策定。鳴尾地区では、鳴尾川の両岸計1.3キロの防潮堤の沈下対策として液状化の影響を受けないようにする地盤改良事業を計画。鳴尾川にある陸閘(りっこう=人や車の通行のために防潮堤の開口部に設ける門扉)を遠隔操作によって津波発生時にはすぐに閉めることができるようにします。

西宮・今津地区では、新川と東川のそれぞれに水門がありますが、この2つの川が合流した下流部分に統合水門を新設。津波が越流する可能性がある「越流区間」を1キロ縮小させます。洗戎川の水門も同じ目的で下流に移設し、「越流区間」を800メートル短くします。防潮堤の沈下対策なども行います。

市内のこれら水門の新設・移設や陸閘の遠隔操作化は平成30年度中に完了し、防潮堤の沈下対策や越流対策など全ての事業を平成35年度までに完了する予定です。

南甲子園小学校の校区の場合、「レベル1津波」では浸水しない想定です。「レベル2津波」では、浸水が想定されています。しかし、平成35年度までの全事業が完了すれば、浸水する恐れは解消されるとしています。今津小学校校区も甲子園浜小学校区も同じ想定です。

全事業が完了すれば、想定される被害は大幅に減少することになりますが、県や西宮市は「想定を超える地震が発生することも考えられる。巨大地震が発生すれば、これまでの想定通りJR神戸線以北か、堅固で高い建物の3階以上に避難してほしい」としています。

 防潮堤が強化される鳴尾川

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