私は6月、西宮市役所で石井登志郎市長にインタビューをしました。石井市長は2期目の市政の最重要課題について「文教住宅都市・西宮のバージョンアップ」を挙げ、「子育て環境をしっかりと整えたい」と述べました。選挙公約に掲げた18歳までの医療費無償化について「可及的速やかにやりたい」と意欲を見せました。
この中で、石井市長は3月の市長選挙で再選したことについて「『西宮のことは西宮市民によって決める』との訴えをまっすぐに貫けたことが勝因につながった」と分析。1期目の市政に対する自己評価については「『70点』という言い方をしている。自分で『落第』とか『100点』と言うのはおこがましい」と述べました。
そのうえで、2期目の最重要課題については「『文教住宅都市・西宮のバージョンアップ』と申し上げている。その1つとして共働き家庭を応援し、子育て環境をしっかりと整えていきたい」と述べました。18歳までの医療費無償化については「可及的速やかにやりたい。市議会9月定例会で事業の具体的な規模やスケジュールを示したい」と述べました。
行政経営改革については「硬直化した財政構造に2期目で手を入れていかなければいけない」と強調。令和2年度から3年間で進めている行政経営改革前期実行計画の78の取り組み項目について「各担当部課から集めたメニューを並べるボトムアップの形になってしまった。私がリーダーシップを発揮するためには改革できる部分を明確にしなければいけない」と指摘し、今後はトップダウンで行政経営改革を進める考えを明らかにしました。
そのうえで、「中期実行計画にどんな球をどのような濃度で並べるかが肝になる」と述べ、令和5年度からの中期実行計画の策定を通じて行政経営改革に本腰を入れる意向を示しました。
石井市長インタビューの主な一問一答は以下の通り。
1期目の自己評価は「70点」
―3月の市長選挙を振り返っての感想は。
「『西宮のことは西宮市民によって決める』との訴えをまっすぐに貫けたことが勝因につながったと思う。国政の構図や中央の影響ではなくて、市長選について西宮を一緒に考える機会と位置づけて、そういう訴えをした。そのことに市民が応えてくれた」
―1期目の4年間についての自己評価は。
「『70点』という言い方をしている。自分で『落第』とか『100点』と言うのはおこがましい。1期目の最初は地方自治の仕組みや役所の体質をわかっていない所があったし、3年目や4年目はコロナ一色だった」
「行政経営改革について、市職員と市民が一緒になって取り組み、地域活動が活発になるような仕組みを進めたかったが、不十分だった。これからやっていきたい」。
子育て環境を整える
―2期目の最重要課題は何ですか。
「『文教住宅都市・西宮のバージョンアップ』と申し上げている。その1つとして共働き家庭を応援し、子育て環境をしっかりと整えていきたい。働ける場をつくることを意識して進めたい」
―公約である「2050年環境都市ビジョンの策定」はどのようなものですか。
「令和5年は環境学習都市宣言から20年、文教住宅都市宣言から60年の節目の年だ。令和7年には市制施行から100周年を迎える。大きな節目に合わせて、新たなビジョンを策定し、環境学習都市宣言やゼロカーボンシティの表明をした自治体にふさわしい持続可能なまちづくりを目指す。行政だけではなく、市民の皆さんと一緒にアクションを起こせるようなビジョンにしたい」
甲子園浜は西宮市のアイデンティティ
―市長は公約で「国が進める名神湾岸連絡線建設工事については、影響を受ける市民・事業者の側に立ち影響を最小限に留める対応をします」と約束しました。どのように取り組みますか。
「書いた通りだ。市としては国がこの事業を採択するまでは県と一緒に早期事業化をお願いしてきた。しかし、この事業では直接、影響を受ける市民や西宮浜の事業者が多くおられる。国策で市民に迷惑をかける可能性があるわけだから、市民や事業者だけに対応を任せるのではなく、市民や事業者の立場に立って国に対して物を言っていく」
―甲子園浜の環境保護についての考えは。
「国の鳥獣保護区に指定されているのは貴い。西宮市のアイデンティティでもあるので、守っていきたい」
市民の電話のたらい回しを防止へ
―令和5年6月から総合コールセンターが業務を始めますが、その狙いは。
「市民からの電話がたらい回しにされないようにしたい。担当課に回さなくても答えられるようにする。質問と回答のデータが蓄積されるまでは大変だが、半年や1年も経つと、コールセンターで適切に対応できるようになるだろう。そうなると、職員は業務が減り、職員にしかできない仕事に集中できるようになる」
―公約である認知症無償診断制度の新設の目的は。
「『認知症になられても社会全体で支えます』ということを市として示し、入り口となる診断を無料にすることでみんなが安心できる環境をつくっていきたい」
斎藤知事とは良い関係
―昨年8月に就任した斎藤元彦・兵庫県知事との信頼関係の構築は。
「知事が変わっても基本的に県と市の関係が変わるわけではないが、斎藤知事とは良い関係を築けていると思う。その関係をうまく生かしていきたい」
―市民に訴えたいことは。
「市民の皆さんに活躍していただくにあたって、役所の縦割りがじゃまをしていた部分があったように思う。そういうことに関してどんどん改革していかなければいけない。市民の皆さんには見守っていただくだけではなく、温かくご意見をいただきながら、市民の皆さんが地域で活動しやすい社会をつくっていきたい」
―市職員に言いたいことは。
「ネアカに仕事をしてほしい。明るく前向きなエネルギーがないといけない」