―学校と家庭、地域が一体となった教育を掲げていますが、これをどのように推進しますか。地域との関係では、コミュニティスクールをどのように進めていく考えですか。
「西宮市では今、全ての小中学校がコミュニティスクールになっており、大変素晴らしいことだと思っている。コミュニティスクールには2つの側面がある。1つ目は学校の運営方針という大きな方向性を地域の方々と一緒に考えて決めることだ。その中に地域の事情や地域の思いを組み入れて学校教育に反映させ、地域の期待に応えていく。2つ目はそのような手続きで決まった学校の運営方針については、地域の方々にも協力していただく。学校の運営方針については、教員だけでできるものもあれば、できないものもある。地域の方々の支援や協力をいただきながら、地域の期待に応えていくということで良い循環が生まれる」
―コミュニティスクールの現状についての認識はいかがですか。まだ、試行期間を脱していないとの指摘もありますが。
「ご指摘のように、今はまだ、慣らし運転の段階かもしれない。地域の方々には学校の実情を理解していただくところから、始めていくべきだと思う。さらに言えば、地域によって課題も違う。人口が増えている地域もあれば、減っている地域もある。子供たちの育て方について思いがある地域もあると思う。コミュニティスクールでは、そんな思いを汲み取りながら、一緒になって学校の将来を考えていく」
―加入率が低下傾向のPTAについての認識は。
「PTA活動の意義はいささかも失われておらず、むしろ高まっている。教員が気づかない家庭や塾での子供の様子などを共有して一緒に子供たちの成長を支えたい。共働き家庭の増加でPTA活動に参加できない保護者が増えている現状を改善し、参加しやすい環境を整えたい。私は横浜市立中学校の校長をしたことがあり、その際はPTAの会長や副会長をはじめとする保護者の方々から色々と教えていただいた。教員だけでは気がつかない子どもたちの様子や本音も教えていただいた」
―PTAをどのように改革すべきですか。
「PTAは本来、学習組織だ。保護者と先生方が一緒になって子供たちにとってどのような教育が必要かを考える場だ。しかし、長い変遷の中で、会員間の親睦活動が目立ったり、運動会や入学式、卒業式などの学校行事で人手が必要な場合、会員を労働力として提供する組織活動などが中心になっているとの指摘もある。PTAにおいて親睦活動が会員の負担になるようでは、本末転倒だ。学校行事における業務がPTAの負担になっているのであれば、地域住民の皆さんにお願いできる可能性があるかないかを調べたり、それらの業務の簡素化を検討し、削減できるところは削減すべきだ。教育委員会としても各学校に対して今の保護者の就労状況を踏まえて、学校からPTAにお願いする内容の見直しを求めていく」
―大切な取り組みですね。
「市としてどういう教育を目指そうとしているのかをはじめ、各学校でどういう教育を行うべきなのかについて保護者と一緒になって考え、学んでいくPTA活動は必要だ。保護者でなければ知らない子供の様子というものは当然、いっぱいある。これらの点を共有して一緒になって子供の健全な成長を考える活動は今後、むしろ充実させていくべきだ」