私は4月、市民はがきアンケートを実施しました。約3万2000枚をポスティングや産経新聞朝刊の折り込みで西宮市内に配布し、98通の回答を得ました。4月で就任からまる1年を迎えた石井登志郎・西宮市長について「評価する」「評価しない」「どちらでもない」の三択で質問したところ、「評価する」は21.4%(21通)でした。
「評価しない」は12.2%(12通)、「どちらでもない」は59.2%(58通)。無回答は7.1%(7通)でした。
「評価する」の理由では、「県立西宮病院と市立中央病院の統合が実現したこと」「防災、高齢者、幼児等の対策に取り組んでいるから」などの政策面に加え、「下野後、他党からの立候補もせず、地元での充電、地域貢献に取り組んでいたので信念を感じる」「人柄に誠実さを感じた」などの人物面の評価を挙げる声がありました。「前の市長よりも良い。変なニュースにならないだけでもうれしい」との意見もありました。
「評価しない」の理由では、「何もしていない」「施策が見えない。県との連携も不透明」「力不足を感じる」などとして市長としての行政手腕を疑問視する声がありました。「元民主党員および議員経験者であり、基本的な社会観や国家観を支持しない」との意見もありました。
回答が最も多かった「どちらでもない」の理由では、「1年ではまだ判断できない」「市長の手腕を発揮するにはもう少し時間が必要」「可もなく不可もない」などの意見が多数を占めました。そのうえで、「今後の行動を期待する」「クリーンなイメージがある」などの期待を表明する声もありました。「強いリーダーシップが感じられない」「何をやっているのかがさっぱりわからない」などとして市政の取り組みについて懸念する声も出ました。
西宮市政で重視する課題について選択項目を提示して複数回答可で聞いたところ、防災が55件でトップ。次いで高齢者福祉(40件)、教育(38件)、子育て環境(35件)、行政改革(35件)などとなっています。
市民はがきアンケートにご回答いただいた皆様に心より御礼申し上げます。
私が実施した市民はがきアンケートで、石井登志郎・西宮市長について「評価する」「評価しない」の両方の回答が低水準にとどまり、「どちらでもない」が過半数を占めました。
石井市長については多くの市民の回答の通り、「評価する」に値する実績はなく、「評価しない」と判断するだけの問題点もありません。就任後1年では実績を残せないかもしれませんが、市政についてのビジョンを市民に示せるはずです。それができていない石井市長の行政手腕に一定の課題があるのは事実だと考えます。
多くの市民が石井市長についての評価を保留する背景には、今村岳司・前市長が暴言騒動で西宮のイメージを落としたという〝苦い記憶〟があるだけに、「石井市長はまともな市長であってほしい」という願望にも似た期待感があるようです。しかし、このままでは、多くの市民が石井市長の〝無策〟に不満をもち、「評価しない」に傾く可能性があります。
私が市議会やインタビューなどで感じた石井市長のイメージは、幅広い分野に精通した教養人であり、国会議員時代などを通じて培った多様な人脈をもっています。市議会でもわかりやすく丁寧な答弁をしており、明晰(めいせき)さを感じさせます。
その一方で、組織を束ねる行政のリーダーとしての力量は今も未知数です。市職員の間には石井市長について「市長に異議を唱えない人物の登用が目立つ」「思いつきで発言する」「他市の成功事例のいいとこ取りをしようとする」などの冷めた見方が広がっています。
石井市長は市議会での答弁や私とのインタビューで行財政改革に積極的に取り組む意向を表明しています。行財政改革を進め、財政状況の悪化を食い止めることが様々な施策を充実させる前提になります。石井市長が行財政改革にどこまで本気で取り組むかが石井市長に対する〝勤務評定〟の大きな基準になると私は考えています。