私は昨年9月20日、西宮市役所で石井登志郎市長にインタビューをしました。その詳報をこのブログで25回にわたって連載しました。今回が最終回です。
福祉施策について石井市長が現在、最も注力している施策、事業は何ですか。
石井市長 「福祉そのものというよりは、健康寿命を伸ばすことが一番だと思います。そのためには、地域包括ケアシステムがうまく機能することが必須条件になります」
かんの 「具体的にはどういうことですか」
石井市長 「例えば、地域包括ケアシステムで利用者がより気軽に相談しやすい環境を整えるだけで、高齢者や家族の心の負担が軽くなります。高齢者から『夫が認知症になって施設を探さなくてはいけないので、仕方なくあちらこちらに電話をした。ケアマネージャーに相談したら、介護認定のことはできるが、施設を探すのは手伝えないと断られた』という相談を受けました。相談体制や窓口の問題を解決することが福祉環境の改善につながることがわかりました」
かんの 「そうですね」
石井市長 「福祉の充実というと、予算の増額に直結し、大きな政策判断が必要と考えがちです。しかし、市民が福祉分野で市に求めているのは相談窓口の改善とか、施策の情報提供などといった内容も多いのです。他市の事例でも、こうした分野を改善するだけで、住みやすい街になったと実感する市民も多いようです。明石市では社会福祉士を任期付職員として採用したことがあります。そんな機能を本市でどのように取り入ればいいかなどを検討していかなければいけないと考えています」
かんの 「障害者差別解消に関する条例の制定についての考えは」
石井市長 「障害者差別解消に向けた包括的な条例をつくるため、準備を進めています。それに合わせ、バリアフリーの店づくりに対する補助などのいくつかの事業に取り組みたいと思っています」