私は9月20日、西宮市役所で石井登志郎市長にインタビューをしました。その詳報をこのブログで25回にわたって連載します。毎週火曜日と金曜日に掲載します。
西宮市の特徴についての市長の感想は(その2)
石井市長 「悪い意味ではなく、事実として西宮市役所の内部は〝純粋培養組織〟です。人口数千人といった小さな町役場には土木職などの専門的な人材はいませんから、県から派遣してもらっています。一方で、大阪市や神戸市などの大きい市は国との人事交流があります。西宮市のような中核市の場合は、専門的な人材もいるから県から職員を派遣してもらう必要はなく、外部との人事交流が多くありません」
かんの 「本市の職員はそのような職場環境の中でキャリア形成をしているわけですね」
石井市長 「例えば、各局長は市役所本庁舎のある六湛寺町の半径200メートル以内で約30年間、働いてきた人たちです。それが悪いわけではありません。居心地の良い組織でもあります。しかし、『開かれた組織か』と聞かれたら、あるいは『他の組織との交流が盛んか』と言われたら、疑問符がつき、検討の余地はあります」
かんの 「石井市長は市役所の内部環境に違和感をもっているわけですね」
石井市長 「その中に私が入ってきました。今村岳司前市長も外から入ってきたわけですが、市議会議員のキャリアが長く、半分は〝中の人〟です。私は今、市政運営について素人です。2年、3年経てば、素人から脱却するつもりです。組織というものは良い意味でも悪い意味でも暗黙知に支配されます。例えば、どこの自治体でも地元の中小企業への発注に配慮していますが、西宮市においてはその配慮に全国的な基準からすると、過剰な点と過小な点があることが素人の私には見えます。ここは西宮市役所の内部にいて本市しか見ていないと、見えてこない部分です」
※⒈暗黙知とは 言語化して説明可能な知識(形式知)に対し、言語化できない、または、たとえ言語化しても肝要なことを伝えようがない知識のこと。暗黙のうちに有する、長年の経験や勘に基づく知識。